「アートメイク」と「タトゥー・刺青」の違いについて、ご存じでしょうか。近年、アートメイククリニックが増え、幅広い年齢層の方がアートメイクに興味を持っていることがわかります。身の回りにも眉やリップなどのアートメイクをしたことがある方がいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、タトゥーみたいに一生消えないものなの?眉のデザインの流行には合わせられるの?といった声も多く、アートメイクとタトゥーの区別がついていない方も中にはいらっしゃるようです。どちらも針を使用して肌に色を入れる施術ではありますが、今回は、この2つは一体何が違うのか、色々な面からご紹介します。

タトゥー(刺青・入れ墨)とは?

タトゥー(刺青・入れ墨)とは、先ほども簡単に触れましたが、針や刃物で皮膚を傷つけそこに墨や色を入れ、文字や絵を描くこと、また、皮膚に入っている絵そのものを言います。

英語表現では「タトゥー(tatoo)」、日本語では「刺青」「入れ墨」(いずれも”いれずみ”と読みます)と表現しますが、江戸時代の前科の証として入れたものについては「入れ墨」と表現するようです。

英語表現から、西洋風デザインを「タトゥー」、日本のデザインで入れるものを「刺青」と表現することも多いですが、「タトゥー」と「刺青」は基本的には同じものと考えます。

その歴史はとても深く、世界各地で様々な目的で入れられてきました。成人の通過儀礼や、民間治療やおまじない、宗教的な意味合いや、結婚の証、仲間や身分の印、また刑罰として色を入れたり、罪人の証として入れるなどマイナスの側面もあり、入れる理由は本当に多岐にわたっています。

近年では、単純にファッションとして入れる方も多いかと思います。

日本でも古来から、同じような刺青文化があったようですが、明治維新以降「文明化」の目的のもと、刺青が厳しく取り締まられた結果、一般的ではなくなったとされています。

タトゥー・刺青のそれぞれのデザインや意味を調べてみると本当に奥が深く、それだけでもとても興味深いです。

タトゥーとアートメイクの違い

それでは、アートメイクとタトゥーの違いについて、いくつかの項目に分けて、説明していきます。

色を入れる目的

タトゥー

タトゥーには様々な目的があると前述しましたが、現代ではファッションとして入れることも多いかと思います。目的に沿って、身体の希望する箇所に色を入れていきます。

アートメイク

対してアートメイクでは、素顔を美しく見せるため、また、メイク時間を短縮させることが大きな目的となります。メイクの延長のイメージで、自然なデザインでお顔のパーツを描き足し、悪目立ちはさせず、全体として美しい印象になるよう、繊細で細やかなパーツを描いていきます。

色の入れ方

針を使用し皮膚を傷つけ色を入れていくという点では、アートメイク・タトゥーに違いはありません。手彫り、マシーン彫りも両方あります。大きな違いは、”色を入れる皮膚の深さ”にあります。

タトゥー

タトゥーでは、皮膚の真皮層(1-2mmの深さ)に着色していきます。

アートメイク

アートメイクは、タトゥーと比べ、皮膚のより浅い表皮層(0.03-0.05mmの深さ)に着色していきます。

痛み

痛みについては個人差があり、同じように感じるわけではありませんが、タトゥーの方が皮膚のより深い層に着色するため、痛みも強いようです。

タトゥー

タトゥーには完成までに工程があり(筋彫り、シェイディング、カラー等)、その段階により痛みも変わるようですが、「シャーペンでがりがりされる」「鈍いカッターで細かい切り傷をつける」「紙やすりでこすられる」「日焼けの箇所をごしごしされる」などと表現されることが多いようです。施術部位によって痛みの程度はかなり変わりますが、部位によっては、我慢できず休憩を挟む必要があるなど、相当の痛みがあるようです。

アートメイク

アートメイクでは、浅い層に色を入れるため、痛みの程度も比較的軽いとされています。「毛抜きで毛を抜くときの痛み」「脱毛の痛み」等表現されることが多いです。
また、多くのクリニックでは、麻酔を使用し痛みを抑える工夫がされています。

→アートメイクの痛みについてはこちら

→麻酔に関してはこちら

色落ち

タトゥー

真皮に着色していくと説明しましたが、真皮はターンオーバーしないため、半永久的に脱色しません。

アートメイク

表皮層は、いわゆるターンオーバーをする層なので、徐々に退色していきます。多くのクリニックでは2-3回に分けて少しずつ着色し、1-3年かけて退色していきます。

MRI検査について

「タトゥーやアートメイクを入れると、MRI検査を受けられなくなるのですか?」といった質問を頂くこともあります。

MRIをこのような出る理由は、色素に含まれる酸化鉄(黒色系の色素の元となる)が原因のようです。原理的には、IH調理器と同様で、MRI検査の際に発生する磁場・電波によって、皮膚内の酸化鉄が熱を帯びてしまうことが原因とされています。

これらの心配事に対し、タトゥーとアートメイクで何か違いはあるのでしょうか。

タトゥー

まず、タトゥーを入れているからと言って、必ずやけどが生じてしまうわけではありません。タトゥーを入れている部分や、濃さ、柄によってリスクが変わるようです。特に、濃さや、円状、ループ状の柄では注意が必要とされています。
タトゥーを入れているから、絶対にMRIを受けられないわけではありませんが、リスクが発生することは理解し、実際に検査を受ける際には、必ず医師に相談すべきでしょう。

アートメイク

アートメイクでは、タトゥーと比較すると色の残り方はかなり少ないため、リスクも基本的にはかなり低いといえます。近年では、使用している色素も、含有する酸化鉄は極力押さえられているようで、そういった心配にも配慮されているようです。ただ、クリニックによって使用する色素は違うと思いますので、気になるようでしたらクリニックに直接お問い合わせすることをお勧めします。

※いずれにしても実際にMRIを受ける際には、医師への相談は必ずしてください。

その他のお悩み…

その他、タトゥーやアートメイクをしている人が、抱える悩みや問題についてまとめました。

タトゥー

・プール、温泉、スポーツジムでの制限
まだまだネガティブなイメージも多く、上記施設で入場禁止や、色を入れている箇所が見えないようにしなければいけない等の制限がかかることがあります。

・仕事への影響
同じくネガティブなイメージから、一般企業ではタトゥーがある人の入社を避ける傾向にあるようです。

・パートナー、子どもへの影響
結婚や交際、子どもが生まれたタイミングで、タトゥーを入れたことを後悔するケースもあるようです。

アートメイク

タトゥーのような悩みは基本的にありません。メイクの延長のイメージですので、そもそも気づかれないケースや、徐々に薄くなりますので、タトゥーほどの影響力やネガティブイメージはありません。
ただ、お顔に入れる施術ですので、丁寧で繊細なデザインが必須になるかと思います。

まとめ

タトゥーとアートメイクの比較についていかがでしたか。どちらの施術にしても、一番大切なのは、ご自身がどうしたいか、色を入れた後どうなりたいかといったイメージかと思います。

ご自身の目的や、理想をイメージして、充実した生活を送れるように、この記事も参考にしていただけたらと思います。